そのCFは本当か? 2005年 1月18日
ろくでなし財務シリーズ
警告 | 公認会計士・税理士・会計に精通している方は読まないで下さい。アホでも分るようにアホの管理人が書いておりますので、 専門家や精通している方には、あまりのレベルの低さに精神的苦痛を感じると思います。 |
前回の日記は四季報を片っ端から調べてROEの高い企業でフリーキャッシュフローがプラスの
企業をヤフーファイナンスに登録して定期的に株価を監視しろという内容のものでした。
(フリーCFとは営業CFに投資CFを加減したもの)
しかし、キャッシュフローを実態より良く見せる裏ワザがあるので気をつけろ!! ということで
今日は その裏ワザを見抜く方法を勉強します。
では営業CFはどのような方法で算出されるのでしょうか? 以前にも勉強しましたがもう一度
計算方法を思いだしてみましょう。
営業キャッシュフローの計算のしかた。
1 まず、損益計算書の「減価償却」の項目を探してください。
この「減価償却」を「当期利益」(または純利益)に足してください。減価償却は費用として
帳簿にのりますが、実際にゼニが出るわけではないので当期利益の額に足
して計算します。
2 次に、バランスシートの「負債」の部から「買掛金」(ツケのこと)を探してこの金額も足します。
ツケですから、実際にゼニが出るわけではないので足して計算します。
3 その次に、バランス・シートの「資産の部」から売掛金を探して、この金額を今までの数字
から差し引きます。帳簿上では利益となっていますが
実際にゼニを受け取ってないので差し引くのです。
これを数式にすると
営業CF=当期利益+減価償却+買掛金-売掛金
となります。
この数式を見てわかるように買掛金の額を増やすことができれば営業CFは良い数字
になります。買掛金(ツケ)を増やすとは、早い話がツケの支払い期日を延ばしてもらうことで
す。例えば、仕入れから30日後に決済していたものを90日に引き伸ばすことができれば
その差の60日分の買掛金が増えます。
そうするとアラ不思議!! 営業CFの数字は良くなるのです。
(水増し営業CF=当期利益+減価償却費+支払日を引き伸ばして増えた買掛金-売掛金)
絶対にありえない話ですが・・・取引先に頼んで買掛金の支払いを3年に一度にして
しまえばその3年間の営業キャッシュフローは物凄く素晴らしい数字になります。
さらにもっと極端なことを言ってしまえば
買掛金を全て踏み倒したらもっと素晴らしい数字になるワケです。
だって・・・
貸したゼニは絶対に取り立てるが借りたゼニは踏み倒す。

これなら儲からないワケがない。
チョッとありえない話で脱線してしまいましたが、買掛金の支払い期日を引き伸ばせば引
き伸ばすほど営業CFは良い数字になっていくのです。
この話からも分かるように、キャッシュフロー計算書とは貸借対照表や損益計算書よりは
インチキがやりにくいという程度であり頭から信用していけないということです。
さて、ではこの買掛金の支払い日の引き伸ばしにより実態より良く見える営業CFを見抜
くにはどうすればいいのだろうか? ということになります。
見抜く方法はあります!! しかも簡単です!!
仕入れ債務支払い日数
を調べて複数年の比較をすればいいのです。 そして同業他社と比較すればいいのです。
仕入れ債務支払い日数とは商品を仕入れてから代金を支払うまでの日数をあらわした
指標です。 まぁ、一言で言うとツケの期限ということです。
数式で表すと
仕入れ債務支払い日数=(支払手形・買掛金)/売上原価*365
(ツケの期限日数)
となります。まず四季報CDの上のバーの左から6番目のBS財務という所をクリックします。
そうすると、決算月、発行済み株式数、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書
などがズラズラと出てくると思います。
その中で貸借対照表の負債の部分の支払手形・買掛金の数字を拾いだします。
その数字に損益計算書の売上原価の数字で割ってやり、それに365をかければいいの
です。
四季報CDなら3期分を調べられますので変化があればスグに気がつくはずです。
例えば3期前は30日だったものが今期は90日になっているとなれば何かおかしい?
と考えるのです。資金繰りが悪化していて取引先に支払いを延ばしてもらっているのかも?
などと想像することが出来るのです。
ただ、仕入れ債務支払い日数は業種によって平均が異なるというイヤガラつきですので
これを同業他社と比較しなくては意味がありません。
さて、CMBでは口が酸っぱくなるほど同業他社との比較をしろ!!と言い続けていま
すが・・・実際にやってみると、恐ろしく退屈で地道な作業であることが分かるはず
です。 そこで、それを超簡単に比較する方法を教えます。
本当は教えたくないんだけど・・・・
比較の方法ですが四季報CDのスクリーニング機能を条件を設定しないで使うのです。
実を言いますと私は四季報のスクリーニング機能は企業の抽出ではなく企業比較に利用し
ています。 ではその方法を教えます。本当は画像を使って説明したいのですが、勝手に
使うと東洋経済社からいちゃもんがきますので、全て文字で説明します。
四季報CDのスクリーニング機能の使い方の知っている方は数式だけをメモして下さい。
条件式名 | 条件内容 |
買掛金支払い日数 | [連・支払手形・買掛金(-1)]/[連・売上原価(-1)]*356 |
買掛金支払い日数2 | [連・支払手形・買掛金(-2)]/[連・売上原価(-2)]*356 |
買掛金支払い日数3 | [連・支払手形・買掛金(-3)]/[連・売上原価(-3)]*356 |
1 まず四季報CDのスクリーニングをクリックします。
2 小さい窓が出てきますので、その窓の右にある「新規」をクリックします。
するとスクリーニング条件の設定という画面が出てくると思います。
3 条件式追加をクリックします。そうすると「条件式名」を書く欄にカーソルが点滅します。
そこに、 「買掛金支払い日数」と入力して隣の「条件式内容」の枠の中にカーソルを
もっていきクリックします。そうすると条件式内容を入力出来るようになります。
4 そうしたら、左下の「スクリーニング項目の選択」の中から「一般連結・貸借対照表」の
+の所をクリックします。 そうするとミカンがズラズラと出てくるはずです。
5 そのミカンたちの中段くらいに「連・支払い手形・買掛金」というヤツがあるハズです。
そしたら、それも+の所をクリックします。そうするとまたミカンが出てきます。
上から 前期本決算(-1) 2期前本決算(-2) 3期前本決算(-3) となっているハズです。
この「前期本決算(-1)」をクリックします。そうすると文字が青い枠に覆われた状態にな
ります。 そしてたら条件式内容の枠のスグ下にある「追加」というボタンをクリックします。
これで条件式内容の中に[連・支払手形・買掛金(-1)]という数式が入力された
ハズです。
6 そんでまた左下の「スクリーニング項目の選択」の中から「一般連結・損益計算書等」の
+の所をクリックします。 そうするとまたミカンがズラズラと出てくるはずです。
その中で「連・売上原価」の+の所をクリックします。するとまたミカンがズラズラと出てくる
はずです。前期本決算(-1) 2期前本決算(-2) 3期前本決算(-3) 5と同じですね。
ここでも「前期本決算(-1)」をクリックします。 5と同じように追加を押します。
すると条件式内容の中に
[連・支払手形・買掛金(-1)]+[連・売上原価(-1)]
という数式が現れるはずです。 ここで + を消して / に直し、計算式の最後に*365を
付け足します。 つまり以下のような数式にするのです。
[連・支払手形・買掛金(-1)]/[連・売上原価(-1)]*365
これを2期前、3期前と繰り返します。計算式の入力が面倒な場合には最初に作った数式を
コピペして(-1)を(-2)に変えれば2期前になります。
7 こうして条件式が出来たら、右下のOKをクリックします。そして件数検索をクリックします。
条件の設定をしていないのでウンザリするくらいの企業の件数が出てきますが気にしな
くていいです。
8 表示を押すと 全社、一般事業会社、保険・金融 などとまたミカンがズラズラと出てく
るはずです。 そうしたら自分の調べている企業の業種を選んでクリックするのです。
そうすると、同業種として分類されている企業の3期分の買掛金支払い日数の一覧表ができ
ます。
注意
1 金融機関などの業種はエラーが出ます。
2 単独決算の企業の場合には「連」を削除すればいいのです。
3 同業種と言っても今の企業は多種多様ですから、この表に現れる数字をまるっきり鵜呑み
にはできませんがザックリでもいいから業界全体の平均値を知るのは大変重要なことです。
ちなみに自分の調べたい企業の上下5段くらいは同業種と見て良いでしょう。
4 厳密に言うと上記の数式の売上原価の箇所は年間仕入れ高の数字を使わないとい
けないのですが、私は四季報にその数値が入ってないし面倒だから大雑把に売上原価にし
てます。 もし厳密な日数を知りたければ、有価証券報告書から「年間仕入れ高」を調べて下
さい。 私は大雑把で良いし何もそこまでする必要はないと思いますがね・・・・
エッ? こんないい加減でいいのだって?
ええ!! いいんです!!

だって・・・
市場参加者の90%が四季報CDの「BS財務」
すら見ないで株を買ってるんだから

だから、この大雑把な数字を知るだけでもアンタは偉い!! となるのです。
大きな声では言えませんが・・・・株式投資は
何も知らない最後の馬鹿にならなければいいのです!!

さて、こうやって 買掛金の支払い日数が著しく変化していなければとりあえず大丈夫でしょう。
前回から今回までのおさらいです。
1 四季報を片っ端からめくりROEの高い企業を見つけました。
2 フリーキャッシュフローがチャンとあります。
3 営業CFがインチキでないかを調べます。
では次に調べないといけないモノは何でしょうか? 続きは次回です。
結論です。
・ キャッシュフローだって操作ができるのだ!!
・ 企業比較は恐ろしく地道で退屈な作業であるが四季報のスクリーニング機能を使えば楽。
・ 財務分析は大雑把でも全然OK!! 何故なら市場参加者の90%がそれすらしないから。
今日の一言
その人が太っているかを調べるの
に体重計は必要ない。
ベンジャミン・グレアム